先日、草木染めの生地や材料などを仕入れている会社の方とお話をする機会に恵まれました。多くの人におすすめしているハンドウォーマーは、たぶん私が一番気に入っていて、色が淡くなれば染め直し、穴があけば繕って使っていることをお伝えしたことがあり、それを大変喜んでくださった。そんな風に使っていることが印象的だったのか、この商品についての意見をもう少し伺いたいということで、電話口で意見交換をさせていただきました。
他愛のない世間話から、昨年仕入れた生地でどういうものを作ったかとか、この冬に仕入れたウールマフラーの生地がとても良かったと感想をお伝えすると「あのウールはチクチクしないでしょう?!近ごろのウールは混ぜものが多くて、やたらと洗濯の注意書きがあるのだけれど、本来のウールは縦横に力を加えない限り、高温でアイロンかけても大丈夫なんですよ」と教えてくださったり。よくよく考えるとウールは高温でしか染まらないので、アイロンの高温にも耐えられるっていうのは納得です。
また、質の良い糸で織られたリネン生地はほとんど縮まないというお話も聞けました。私もリネンは縮むものだと思っていたのですが、確かにここから仕入れたリネン生地は縮みが少ないなという印象でした。余裕をもって生地をカットしないと、染め上がった時に生地の長さが足りなくなるということがなかったからです。
こうして直接話をする機会があると、どういう思いでモノづくりをされているかなどを知る機会になり、素材そのものへの信頼から、そこでモノづくりをされている方々への信頼へ変わり、もっと応援したいなという気持ちになります。これからの時代は、どこのブランドのものを買うかというよりも、誰から買うのか、それが物を買う理由になるのかな〜なんてぼんやりと思いました。
特に私は「素材」を探して仕入れているので、どこのブランドのものがどうのこうのという判断で買うことはなく、染めたときの生地の発色具合だとか、洗った時の風合いだとか、肌触りだとか、使いやすさとか、買い続けられる価格かどうかなど、モノづくりにとって大切な部分と向き合える場所にいられることに、最近では喜びを感じられるようになりました。そこにモノづくりをされている方の思いを知ると、素材に対しても愛着がわき、うれしさも倍増します。
仕入先の方は、素材は売るけれども、それがどういう形になるのかを見届ける機会がほとんどないのだそうですが、自分たちが作ったものがこんな風になるんだ!と見ることができたときは、とても嬉しく励みになると仰っていました。なるほど、そうかもしれませんね。
私の場合は、感想という形ですが、ときどきお客様からふわりとメールが届き、ご感想をいただくことがあります。そのちょっとした言葉がヒントになり、それを作り続ける理由がまたひとつ増えていくと、ああこれでいいんだと、私の弱々しい芯に少しだけ強さが加わります。
人は人にしか励まされないってことか。その逆も然り。会話を通して、自分の言葉で素直に思ったことを伝えていけたらいいなと思いました。
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